アンチエイジングの強い味方アスタキサンチン。効果的に摂取するなら紅鮭がおすすめ。

アンチエイジングの強い味方アスタキサンチン。効果的に摂取するなら紅鮭がおすすめ。

「鮭の赤い体の色は‟アスタキサンチン”といって、体の老化予防にすごいパワーを発揮!」と、鮭を健康にいい食べ物として紹介するテレビ番組を見かけます。

鮭が産卵のために川を遡上する時の運動量はすさまじく、その時に大量に活性酸素が発生するのだとか。

本来なら自身が死んでしまうほどの活性酸素を体内に持ちながら、無事産卵場所まで行き子孫を残せるのは、アスタキサンチンのおかげというもの。

なるほど~。

いやちょっと待てよ。

最近スーパーで見かける鮭は、ほとんど養殖もの。

人工的に調整されてあの赤っぽい身の色になっている、という話はよく聞きます。

それなら、養殖の鮭にはアスタキサンチンなんて入ってないんじゃない?

ふと疑問に思ったので、詳しく調べてみました。

鮭は本来白身の魚。体が赤くなっているのは、アスタキサンチンを多く含むエビ、カニを海に下った時に食べているから。

鮭が白身魚だということはご存知でしょうか。

赤身魚であるマグロやカツオの赤色は、ミオグロビンという色素。

必要な時まで酸素を貯めておけるという働きがあります。

カツオやマグロなどの回遊魚は常に動き回って大量に酸素を必要とするので、ミオグロビンが重要な働きをします。

同じように赤みがかっていても、鮭と赤身魚とはその色素の成分は全然違います。

それでは白身魚であるはずの鮭が赤っぽいのはなぜ?

これは海で大量に食べるオキアミなどの甲殻類に含まれるアスタキサンチンを筋肉に蓄えているから。

アスタキサンチンというのは、はカロテノイドという天然色素の一種。

水産物に含まれる珍しいタイプです。

このアスタキサンチンの驚異的なパワーを使って、川の遡上、産卵という大事業を成し遂げるのです。

川を上って筋肉に蓄えられたアスタキサンチンを消費していくと、鮭の身はどんどん白っぽくなっていくのだとか。

昔の人は川を遡上してきた鮭を獲っていたので、日本で唯一の天然鮭は‟白鮭”というのが正式名称なのだそうです。

現在は、岸から2∼5キロ離れた沿岸部での定置網漁が一般的。

産卵のため生まれた川付近に戻って来た鮭の90%以上がこの定置網漁で獲られているそうです。

川の遡上、産卵に備えて体内に栄養をたっぷり備えていそうですね。

ちなみに鮭には白鮭(秋鮭)のほかに紅鮭や銀鮭、アトランティックサーモン、キングサーモン、カラフトマスなど多くの種類がありますが、みな同じ理由で赤っぽい身の色をしています。

エサを与えられて育った養殖の鮭に、アスタキサンチンは含まれていないんじゃないの?

冒頭で鮭が赤っぽい身の色をしているのは、オキアミなどに含まれるアスタキサンチンを筋肉に蓄えているから、と書きました。

では、エサを与えられて育った養殖の鮭は?

東京都健康安全研究センターのホームページに、平成16年に東京都内で入手した養殖サケ・マス類27検体、天然サケ・マス類3検体にアスタキサンチンなどの成分がどのぐらい含まれているのかを分析した数字があります。

養殖サケ・マス類に含まれるアスタキサンチン含有量〉

サーモントラウト

  • チリ産/9.6~15.7
  • ノルウェイ産/7.8~12.3

アトランティックサーモン

  • チリ産/4.0~4.1
  • ノルウェイ産/4.5~6.2

銀鮭

  • 日本産/7.4~14.0
  • チリ産/9.9~13.8

キングサーモン

  • ニュージーランド産/6.1~8.8
  • カナダ産/4.0~6.8

(単位はすべてppm)

 

天然サケ・マス類に含まれるアスタキサンチン含有量〉

紅鮭

  • アメリカ産/29.7~30.3

秋鮭(白鮭)

  • 日本産/5.5

(単位はすべてppm)

養殖、天然合わせて30検体と少ない数での検査結果になりますので、上記の数字はたまたまこの数値になったとも言えるかもしれません。

それでも、養殖の鮭にも、ちゃんとアスタキサンチンが含まれているということは分かりました。

特筆すべきは、紅鮭のアスタキサンチンの含有量の多さ。

鮭のなかでも赤みが強い身は、アスタキサンチンが豊富に含まれている証明だったのですね。

ちなみに紅鮭はその性質上、現時点では養殖出来ないとされています。

天然なのに、アンチエイジング成分たっぷり!

さらに鮭のなかでも一番おいしいとされています。

養殖ものの他の鮭より高価ですが、たまにはこんなプチ贅沢もいいですね。

アスタキサンチンの驚くべきパワー。アンチエイジング、美白、生活習慣病予防、がん細胞の抑制などなど、その効果は幅広く期待されています。

アスタキサンチンとは、どんなもの?

アスタキサンチンとは、動植物に含まれている天然色素カロテノイドの一種。

カロテノイドには、トマトを赤くしているリコピンも、ニンジンをオレンジ色にするβカロテンも、ほうれん草などに含まれるルテインも含まれます。

厚生労働省のホームページでは、カロテノイドについてこう説明しています。

これらは活性酸素の発生を抑え、取り除く作用を持っています。このため活性酸素の働きで作られる過酸化脂質が引き起こす動脈硬化を予防したり、老化やがんの発生に対しても効果があると考えられます。

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

つまり、活性酸素に対抗する力=抗酸化力があるということ。

カロテノイドを含む食材にはみんな抗酸化力がありますが、特に強い抗酸化力を持つとして、アスタキサンチンが注目されています。

というのも、鮭が生まれた川に産卵するために川を遡上する、その過酷な道のりを乗り越えられるのはアスタキサンチンのおかげだと。

北里大学助教授 森山俊介氏によると、鮭に含まれている色素成分というのは人参などに含まれているベータカロチンより10倍以上の効果を持っていることが分かっているのだそうです。

そして産卵の時には体内に残ったアスタキサンチンをイクラに移し、自らは寿命を終えます。

イクラが不安定な環境で無事にふ化できるのも、アスタキサンチンのおかげです。

アスタキサンチンは体の中でどんな働きをしてくれるの?

アスタキサンチンが強力な抗酸化力を持っていることは分かりましたが、具体的には体のなかでどんな働きをしてくれているのでしょうか。

その期待される効果はとても幅広く及びます。

アスタキサンチンの効用として期待されているもの

眼精疲労を軽減

加齢黄斑変性の進行抑制

白内障発症予防

筋肉疲労の軽減

糖尿病に対する健康効用

アンチエイジング効果

シミ、しわへの効果

美白効果

血管の老化に伴う動脈硬化予防

脳機能低下抑制効果

メタボリックシンドロームに対する効果

免疫・ガン免疫に対する効果

今その驚異的なパワーが注目され、アスタキサンチンを摂取できる多くのサプリメントが開発・販売されています。

 

参考文献

  • e-ヘルスネット/厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
  • 藤沢総合検診センター「健康づくり支援室だより」2016年5月号
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構 北海道区水産研究所ホームページ
  • 北里大学水産学部 森山 俊介助教授の講演「鮭の未利用部位に含まれる機能性成分」
  • 日本保管代替医療学会『日本保管代替医療学会誌』第5巻第3号「補完代替医療素材としてのアスタキサンチン」